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零がそのアルバイトを始めてから二年と少しになる。
大学入学と同時に始めた楽器店のバイトは、時給が低い上に雑用ばかり多くて、少なくとも割りの良いアルバイトとは言えなかったが、その店は貸しスタジオが併設されており、空き時間にはそこにあるグランドピアノを思い切り弾けるのが魅力だった。
零は大学の音楽部ピアノ科三年生、入学当初こそ大きなホールでリサイタルを開く自分の姿を夢見た時期もあったが、学年が進むにつれ現実の厳しさを知った。
今思い描いている夢は、卒業したら楽器会社が母体の音楽教室の講師として就職し、ゆくゆくは自分でピアノ教室を開きたい、そんな実現可能な目標とも言うべきものだった。
真面目で将来の夢も持っている、今時珍しいくらいしっかりした学生、そんな零にはだれにも言えない秘密があった。それは
ネットアイドル・零夏、としてのもう一つの顔を持っているという事。
そしてネット上で露出をしているという事。
零、いや零夏がいるのはインターネットの「ビリオンアイランド」というサイトの中の「零夏のワンルーム」というブログだ。
某プロバイダーが主催の、ブログを取りまとめているこのサイトは会員になれば自分でいくつでもブログを立ち上げることができる。
プロバイダーの契約者以外参加できないことや紹介者が必要などの入会条件が厳しく、反面、女性やあまりパソコンの知識のない人間でも安心して参加できる、だから零も参加してみようと思ったのだ。
ビリオンアイランドは、普段の生活を綴るブログもあるにはあったが、それよりもそれぞれがマニアックな知識を誇る空間になっていた。
例えばピアノならピアノ教室の案内、楽器店の情報、あるメーカーのある型番のピアノについてだけ、それに使われているピアノ線のことだけを語るブログ等々。
実際、今現在日本語のブログは2,000万だというから、このサイトだけでビリオンというのは大げさだが、それでも本当にそれくらいはあるのではと思わせるほど百花繚乱というか玉石混交というか、まさにネットの海に浮かぶ「10億の島」といったところだ。
厳しい入会資格、会員でなければ閲覧すらできないという閉鎖的だが安心できる空間が一風変わったブログのたまり場になってしまったのだろうか、零はそう思った。 【Double【エッチ体験談】】の続きを読む
零がそのアルバイトを始めてから二年と少しになる。
大学入学と同時に始めた楽器店のバイトは、時給が低い上に雑用ばかり多くて、少なくとも割りの良いアルバイトとは言えなかったが、その店は貸しスタジオが併設されており、空き時間にはそこにあるグランドピアノを思い切り弾けるのが魅力だった。
零は大学の音楽部ピアノ科三年生、入学当初こそ大きなホールでリサイタルを開く自分の姿を夢見た時期もあったが、学年が進むにつれ現実の厳しさを知った。
今思い描いている夢は、卒業したら楽器会社が母体の音楽教室の講師として就職し、ゆくゆくは自分でピアノ教室を開きたい、そんな実現可能な目標とも言うべきものだった。
真面目で将来の夢も持っている、今時珍しいくらいしっかりした学生、そんな零にはだれにも言えない秘密があった。それは
ネットアイドル・零夏、としてのもう一つの顔を持っているという事。
そしてネット上で露出をしているという事。
零、いや零夏がいるのはインターネットの「ビリオンアイランド」というサイトの中の「零夏のワンルーム」というブログだ。
某プロバイダーが主催の、ブログを取りまとめているこのサイトは会員になれば自分でいくつでもブログを立ち上げることができる。
プロバイダーの契約者以外参加できないことや紹介者が必要などの入会条件が厳しく、反面、女性やあまりパソコンの知識のない人間でも安心して参加できる、だから零も参加してみようと思ったのだ。
ビリオンアイランドは、普段の生活を綴るブログもあるにはあったが、それよりもそれぞれがマニアックな知識を誇る空間になっていた。
例えばピアノならピアノ教室の案内、楽器店の情報、あるメーカーのある型番のピアノについてだけ、それに使われているピアノ線のことだけを語るブログ等々。
実際、今現在日本語のブログは2,000万だというから、このサイトだけでビリオンというのは大げさだが、それでも本当にそれくらいはあるのではと思わせるほど百花繚乱というか玉石混交というか、まさにネットの海に浮かぶ「10億の島」といったところだ。
厳しい入会資格、会員でなければ閲覧すらできないという閉鎖的だが安心できる空間が一風変わったブログのたまり場になってしまったのだろうか、零はそう思った。 【Double【エッチ体験談】】の続きを読む