私は、双葉(ふたば)家政婦協会に所属する家政婦です。
家政婦などというものは、お金持ちの奥様などがお雇いになるというのが相場でございます。
決してお安い利用料ではないからです。家政婦というお仕事をしておりますと、ついつい、その御宅の秘密などを目にするものでございます。
まあ、秘密のない御宅など探すほうが難儀(なんぎ)ではございますが。つい先だっても、ある御宅にご縁があって、お世話をさせていただくことになりました。
その時の奇妙なことと言ったら・・・私は都心から小一時間はかかる、高級住宅街の会社役員をされていた御宅に向かいました。
協会から渡された地図を頼りに、坂を上り、また下り、またまた上って小高い丘の上の一軒家にたどり着いたのです。
たいそう古い洋館建てのお家で、高い屏で囲まれ、頑丈な鉄扉(てっぴ)が備えられた、まったく外からは中が窺(うかが)えない御宅でした。表札に「京極(きょうごく)」とありましたので、間違いございません。
私は呼び鈴を押しました。
インターホンというものはなく、昔ながらの呼び鈴だったのです。
このような古い御宅では珍しくございません。中から、五十絡みの品のよいブラウス姿の奥様らしき女性が出ていらっしゃいました。
「私、双葉家政婦協会から参りました、横山と申します」
鉄扉の上の隙間から目だけを出して、そう伝えたのです。
「ようこそ、いらっしゃいました」
そう言って、女性は鉄の重そうな扉を開き、私を招き入れてくれました。彼女はやはり、この家の奥様で、京極妙子(たえこ)と言い、ご主人はあの有名な京極興産会長の京極為次(ためつぐ)です。応接間に通され、私にしばらく掛けて待つようにと奥様が申されました。
アールデコ調の上品な調度品で飾られたお部屋は、趣味のよいものでした。
私もこういう仕事ですので、よくお部屋の中を拝見いたしますが、その中でも京極家は屈指の部類に入ると感心いたしました。しばらくして、奥様が紅茶の支度(したく)をお盆に乗せて入ってこられました。
「古い家でしょう?」
奥様は問わず語りにそう申されました。
「歴史のある感じがいたします。ほんとにいいご趣味のお部屋ですね」
「主人のお気に入りなんですの。わたしは、あんまり洋風のものは好きじゃなかったんですけどね、もう見慣れましたんで、却(かえ)ってこのほうが落ち着くのよ」
ウェジウッドの茶器に紅茶が注がれ、私の前に勧められました。
「では、何からお話いたしましょうかね」
奥様は、それから、通り一遍の家庭の事情やら、私にやって欲しいことなどを申されたのです。私が最初に、奇異に感じたことはご主人と奥様の年齢差です。
ご主人のた為次氏はもう八十近いご老体です。
奥様は、聞けば、女ざかりの五十歳とのこと。
でも、お若く見えるので、四十といっても通用する位でした。私、住み込みの家政婦でございますので、夜中に見回りをかねて、広い家の中をうろうろいたします。
すると、ご夫婦のお部屋からなにやら、話し声が聞こえるじゃないですか。
時計は午前二時を回ったところ。私は抜き足差し足で、その明かりの漏れているドアの隙間から中を覗きました。
私、こういうことばかりして、家政婦の仕事のストレスを発散してるんです。なんと、そこには二人の裸の男女が睦みあっているではないですか。
為次老人は、その年齢とは裏腹に、筋肉質の隆々としたたくましい体で、奥様はまた、女性でも嫉妬するようなメリハリの効いた体躯と透き通るような肌をお持ちでした。「どうしてほしい?」
「いじめてください」
「こうか?」
そう言って老人は皮の鞭(むち)で、びゅっと空を切る音をさせながら、勢い良く奥様の臀部に命中させます。
思わず私、目をつぶってしまいました。
小気味よい音が室内に響きわたります。
そして何ども。
奥様は、そのたびに、声をお上げになられます。
「ああ、もっとぉ、もっと激しく打ってくださいまし」最初、老人の陰茎はだらりと下がったままでしたが、スパンキングが佳境に入ってくるにつれ、隆起してきました。
そうして、若者と変わらないくらい勢い良く立ち上がって、脈動していました。私も、股間が湿潤してまいるのがわかりました。
独りでに、指が秘め処を悪戯(いたずら)いたします。
もう下着が、着替えないといけないくらい濡れてしまっていました。スパンキングが終わり、老人は、いきなり奥様を後ろから貫かれました。
いわゆる立ちバックというのでしょうか。「ああっ。硬い。硬いですぅ」
「そうか、そうだろう。わしはまだ若いもんには負けんぞ」
「あん、あん」
激しい突き込みを受けながら奥様は髪を振り乱し、マントルピースに手をつきながら腰をつかっておられます。
「上におなり」
「はい」
ベッドの上に主戦場を移したご夫婦は、奥様が上になって騎乗位で楽しまれるようです。
「ああ、奥まで当ってます。旦那様」
「そうだろう。わしにもわかる。腰を使っていいぞ」
「はい旦那様」
そう言うと、奥様は円を描くように形のいいお尻を回されました。
私が犯されているような錯覚を覚えました。このような光景が毎晩、行われるのでございました。でもこれだけではなかったのです。続きは今度ね。