3年A組の教室ではホームールームが行われていた。「今日、男子数人が水泳の着替えの時、教室にいる 私たちを覗き見していました。それが原因で 奈緒ちゃんはその時泣いていました。 関わった男子は女子全員に謝ってください」「見ようと思って見たわけじゃないぞ。 廊下を通りかかったら見えたんだよ」「女子はみんな剛司くんや稔くんが窓の隙間から 覗いていたのを見ています」
「チッ、謝りゃいいんだろ」
剛司と稔は、ふてくされながらも女子に向かって軽く頭を下げると、あっさりと席に着いてしまった。こういった事はいつもならこれで終わるのだったが、今日はどうも様子が違った。
「では、ホームルームをこれで....」「あ、ちょっと待って」
教壇でホームルームを務める三橋を遮るように口を開いたのは、担任の久子だった。
「人間が初めて作った法律、ハムラビ法典の中には こんな一文があります。
 "目に目を、歯に歯を"
 どういう意味か分かるかしら、三橋さん」
久子は、学級委員長である三橋の顔をチラッと見た。
「はい、罪を犯した人が同じ罰を受けて罪を償うことです」「そうですね。で、これを"同害復讐の原則と言います。 復讐というと少し誤解があるかもしれないけど、 この理念はいまのイスラムをはじめ多くの国々の法の 基礎になっています。一部、犯罪者の人権擁護などと 馬鹿げたことを言う人もいるけれど、そんなこと言ってると ますます犯罪者が増えるだけです。被害者のことを   第一に考えれば、当然の考え方です。」
久子は自分の言ったことを黒板に書き示しながら、
「ですから、私のクラスでもこのルールを今日から適用します」
久子はそう言って、黒板を強くドンと叩いた。教室中に重く響き渡ったその音は、生徒たちにも妙な緊張感が生まれていった。そんな中、今回の事件の当事者である剛司が手を挙げた。
「はい?剛司くん何ですか」「それって、今回のことを言ってるわけではないですよね」
剛司は笑顔を交えながら冗談半分に聞いた。
「もちろん。連帯責任として男子には被害者と 同じ気持ちを味わってもらいます。」そう真顔で答える久子の衝撃の言葉に、剛司はおろか男子はみな驚きを隠さなかった。「え、どういうことですか」「簡単よ。男子が水着に着替えるところを 女子が教室の窓から覗くだけ。」「え、そんなこと、、」
もう一人の共犯、稔も久子の一方的な進め方に反論する。
「前か後か、そんなことはどうでもいいの。 先生が言いたかったことは......丸岡さん何かしら?」「目には目を歯には歯を、です」
クラスの秀才女、丸岡が即座に答える。
「そういうことです。罪を犯した人を含め、 男子には相応の罰を受けてもらいます。」

男子全員による連帯責任での罰が確定した瞬間だった......。
クラスの男子を教室に残して、女子全員が廊下から教室を堂々と覗き見している。
「何でオレたちまで、、」
男子の多くが事件に関わった剛司たちを睨みつけている。
「はい、みんな一斉に上着のボタンを外す」「グズグズしない」「あら、ズボン脱がずにどうして水着が着れるのかしら」
着替えを渋る男子に、久子はひとつひとつ指示を出していく。女子は廊下からそんな男子達の着替えを高みの見物している。
「なんかストリップショー見てるみたーい」「剛司の名字、古川だからあだ名をこれからフルチン君にしようよ」「キャハハハ、サイコーのあだ名だよね」「で、そのフルチン君はどこにいるのかしらねw」「もう少ししてからそう呼んだら、みんな振り向くわよきっと」「それより素チンって呼んで振り向いた人を素チンに認定するって いうのはどう」「それイイかもー☆」
ストリップ劇場さながらの盛り上がりを見せる女子たちとは対照的に、当の男子はみなパンツを下ろす手前で顔面蒼白になっている。
しかしこれから始まるショータイムこそが、彼らにとって本当の正念場となるのだった。