クリスマスの街はどこもライトアップされ、
彼女が住む地域の雰囲気とは違うのか、

“あぁ綺麗”とか
“凄いねェ”などと言う素朴な言葉に私は可笑しくなった。

くすくす笑っていると、彼女は

“綺麗なものは綺麗だもん”などと言う。

実に可愛い。

どこに行くあても無い為か、
同じような道をグルグルしているしかなかった私に彼女は
“山の方に行こう”と言い出した。

特に反対する理由も無かった為OKして、
車を山の方向へと向け走らせた。
コレが後の展開に大きく影響するともその時は知らずに。

走るに連れ街の明かりはドンドン遠ざかっていき、
逆に木々が多くなり、背景に真っ暗な山が見え始めた。
走る車の数も減り、車内を流れる音楽が同じ音量なのに
大きく聞こえているような気がした。
しかし会話の方はまるでとどまる事を知らず、
盛り上がったままである。
音楽の事、旅の事、学校の事、友達の事、尽きる事が無い。
ワンボックスの車内を動き回り、
広いねェなどと無邪気にはしゃいでいる。

そのうち車は大体目的であった山に着き、
休憩の為コンビニに寄ったのだ。
パンやお茶 お菓子等をコレでもかと買い込み、
車内に戻った2人だが、山に来た後の事を考えてなかった。
良く考えれば来たからには帰らなくてならない。
時間が時間だった為彼女に聞いてみた。

“そろそろ戻ろうか?”と。

急に黙り込む彼女。
そして小さな声で2人の間柄を決定付ける発言をする。

“帰らなくても大丈夫だし、帰りたくもない”

驚いたと同時に正直興奮した。

“じゃあどこかに泊まろうか?”と聞くと
“うん”と直ぐに答が返ってきた。