「だだだ大丈夫ですか！？」
と声をかけられた。
顔を上げるとこれがまた凄いイケメン。
えづきながらも簡単に事情を説明すると、良い香りのするタオルをさっと取り出し、頭にかけてくれ、
「大丈夫！使ってないやつだから！それだけ悪い事あったら明日は良い事あるよ！」
と爽やかな笑顔。
これは抱かれてもいいわーとか思いながら、吐瀉物の残骸が付着したタオルの弁償を申し出ると、冊子を渡され
「お礼はいいからこれ読んでよ！サークルで作ってるやつ！良かったら広めてね！」
と言って去っていた。
どうやらフリーペーパーを作るサークルの人らしい。
去り際までイケメンだった。
後日、新品のタオルを持ってそのサークルの部室に行くと、女の子が1人PCに向かっていた。
その子にイケメンの特徴を伝えると
「多分すぐ来ると思いますよ。なんならその辺座って待ってて下さい」
と言われた。
部屋に2人っきりで黙ってるのも気まずいので、色々ぼかして事のあらましを伝えると、
「あー、あの人そういうとこありますねー。イケメンの上に良い人過ぎて彼女出来ないんですよー」
と笑った。
えくぼが特徴的で、愛嬌のある笑顔だった。
はい、その子が私の嫁です。
イケメンとはその頃からずっと仲良くしてて、結婚式のスピーチでは彼に
「バタフライエフェクト婚」
と言われた。
私にゲロをかけた女は、その後私の人生に何ら関わる事はなかったが、彼女にはこっそり感謝している。
イケメン氏は菩薩のような人と結婚した。
ちなみに彼の好みは「優しい女性」。
イケメンなのに彼女出来なかったのは、隠れギャルゲーオタで実は女性が苦手だったからだ。
趣味を菩薩にカミングアウトしたら、アルケイックスマイルでドン引きされたらしいが、その後は夫婦でシュタインズゲートにハマってた。
マジ菩薩。
今思うとバタフライエフェクトという言葉のチョイスも多分そっからかな。
嫁と出会ったその日は結局イケメンどころか他に誰も来なくて、しばらく2人で駄弁ってた。
帰り際に
「明日はどのくらいの時間だったら(イケメンが)いるかなー？」
と聞いたら
嫁「わわわ私は3限終わりから暇ででで////////」
と耳まで真っ赤になったので、逆に私も意識しちゃってたまにサークルに顔出したりイケメンと仲良くなったり、嫁のフリペの手伝いやったりしてるうちにあれよあれよとなし崩し的にセッ・・・愛を育んでいったわけだ。