前編は以下のとおり

窓がある。そっと中を覗く。
そこには仰向けに横たわるナオミと
上にのしかかるリョウタの姿があった。

窓を閉め、気づかれないようにドアを開け、そっと中に忍びこむ。
今思うとかなり大胆でした、俺

窓から見えたのは恐らくリビングだろう。
台所を抜け、リビングに向かった。

途中、床においてあったスリッパ立てを蹴飛ばし、
気づかれそうになり焦ったのを覚えてる。
リビングのドアの前に立ち壁に貼りついて
聞き耳を立てる。

ここからは鮮明に覚えてる、忘れられない記憶・・。

「今日はあいつらと何してたんだよ?」
「別にー、ボウリングしてただけ・・・んっ・・。」

「どうしたんだよ?こういうの初めてか?」
「んっ・・ねぇ・・止めようよ!どうしたの?リョウタ君ってば!」

「俺・・前からお前のこと気になってたんだよ。なぁ?」
「んんっ・・そんなこと言われてもあたし困るよぉ・・」

ここで飛び出していってやろうかと思った。
目の前は真っ白。

だが動けなかった。飛び出せなかった。

更に会話は続いた。
ドアの向こうに俺がいるとも知らず。

「お前・・(俺の名前)のこと好きなのか?」
ドアをそっと少しだけ開け、2人を見た。

ナオミは上半身はブラだけ、
リョウタは下着1枚という格好だった。

思わずナオミに見とれてしまいそうになったが
怒りが俺を呼び戻した。

「あたし・・(俺の名前)君のことが好きなの!だから止めて!」
「・・そうか。だったら一度だけでいいからお前を俺のものにさせてくれ」

そう言ってブらを外し、リョウタがナオミの胸に顔をうずめた。

そうなると必然的に俺のことが視界に入ると気づき、
とっさにドアに隠れなおした。

「あぁ・・っ・・リョウタ君・・ぁ・・」
「はぁ・・ナオミ・・好きだったんだ・・」

「ぇ?ちょっとリョウタ君!それはダメッ・・ぁん・・」
おそらくナオミのあそこに手をやったんだろう。
俺は我慢しきれなくなった。

近くにリョウタの弟のものだろう。
「タケハル」と書いてある箱の中にガス銃が入っているのを見つけた。

それをがむしゃらに手に取った俺はドアを蹴り開けた。
「止めろぉっ!!!!」大声で怒鳴り散らした。

隣にも、いや、この住宅街に響き渡ったかもしれない。
沈黙が俺を押しつぶした。この空間を制圧した。

目の前には俺の大嫌いなリョウタが裸、
ナオミが胸を露にして押し倒されている。

肩で息をするしかなかった。
怒りより、涙が込み上げてきた。

銃口をリョウタに向けた。引き金はひけなかった。
もちろんガス銃だ。

当たっても怪我はしないだろうし、死にもしない。
だが痛さは充分にあるはずだ。

リョウタに「そこからどけ・・・。」
「ナオミから離れろぉ!!」怒鳴る。怒鳴るしかなかった。

銃をリョウタに向けたまま俺は上着を脱いでナオミを起こし、
俺の上着を着せてやった。

その体は冷たく、綺麗だったのを覚えてる。
それが悲しく切なかった。

「おい・・これはどういうことだ・・?」
「・・・・・。」

「どういうことだって言ってるんだよ!!」
銃を投げ捨てた。置いてあったプラモデルに当たり、プラモが砕け散る。

その後は何もできなかった。
もう何がなんだか分からず、全部夢であってほしかった。

本来の目的であったリョウタの音楽プレイヤーを返却して、
俺はあいつの家を出ることにした。

もちろん、家を出る時はナオミも一緒だった。
帰り道、何を話して良いか分からなかった。自分が情けなかった。

だが、リョウタに犯されそうになっているとき、彼女の口から、
俺のことが好きだ、と言ってくれていなかったら、
俺はあのまま成り行きを見守ってしまったかもしれなかった。

人通りの少ない帰り道、ナオミは電車に乗るため、駅の階段で、
「また明日、学校でね^^」
と笑顔で階段を降りて行こうとした。

おそらく、彼女なりの気の使い方だったんだろう。
俺はその笑顔を見たら、勝手に体が動いていた。

気づくと彼女を抱きしめ、「好きだ・・ナオミ・・」
と涙声で言っていた。

彼女も「・・・うん・・」と言ってくれた。
あれ以来、今も付き合っています。

高校時代のちょっと変わった体験でした。長文スマソ・・。