その子との出会いは高校生の時。
俺が一目惚れだった。
外堀を埋めつつ埋めつつゲットした高2の秋。
スペック忘れてた。
■付き合い始めた頃。
俺:高2、身長は175くらい。顔は…誰だろう?割と中性的な顔と言われる。
彼女:高2、身長は160ちょいくらい。顔分かんねぇ。まあでも美人系だな。
普通の高校生カップルみたいな事をずっとしてた。
ねずみの国に行ったりファミレスでグダったりどっちかの家行ったり。
お互いの兄弟連れて遊んだ事もあった。
そんな青春生活を送っていたわけなんだが、高校生っちゅーもんにはいつか終わりが来るんだ。
受験して、卒業だな。
受験期はお互い勉強頑張ってたし、良きライバルでありパートナーでもあった。
彼女は家庭の事情で予備校とか行かず独学で。
俺は親に甘えて予備校行ってた。
そんなこんなで刺激し合いながら受験も乗り切って高校を卒業した。
その子の事すげー好きだったし、ぶっちゃけまだまだ青いながらも結婚すんじゃねーかな、なんて考えてた。
彼女とは進路は違う大学だった。
まあそりゃそうだわ。
そんな事のために勉強していたわけではない。
でも別に別れるとかは思ってなかった。
だけど環境の変化って予想以上で、お互いの学校も家も結構離れてて、なかなか2人で会える時間が減っていった。
そんで彼女の方から
「好きだけど寂しいし別れよう」
って言われた・・・振られたよ・・・。
それなりに俺も薄々そうなるんかなーとは思ってたけど、さやっぱり辛いわけだ。
好きだったし、別れたのは本当に大学入ってすぐ。
だけど大学にかまけて遊んでなかったし、大学生で浮かれてるのもあったと思う。
そんな俺に嫌気が差したのであろう。
仕方がない。
そんなこんなでクソみたいな大学生活を送っていた。
サークルやって、酒飲んで、遊んで、の繰り返し。
彼女は一向にできなかった。
大学では高校とは違って色々と出来るようになっていく。
バイトもしまくってたし。
パチンコしたり麻雀覚えたり。
そんな生活をしていた大学3年の冬。
就活中真っ只中で、4年の仲の良い先輩に色々相談に乗ってもらっていた時に
先輩「じゃあ、一発すっきりするか!!」
と言われて、初めて風俗、ピンサロに行く事となる。
ちなみにこの先輩、高校の時から色々相談していた先輩で、大学もたまたま一緒でよく飲みに行ったりしていた。
色々な遊びに手を出していた俺であるが、風俗と女関係はさっぱりだった。
女関係に関しては、まず元カノの事もあるけど好きな人ができないというのもあった。
でも、風俗は性病とか怖いしそもそも知らない。
女に何で金払って奉仕してもらわなきゃいけないのか分からんかった。
それでも就活に疲れ、オナニー三昧の俺は先輩に連れられ、遂に風俗にも手を出す事となった。
風俗については何から何までわからん俺だったが、とりあえずそこは女の子の顔写真がズラッと並んでいて、その中から追加料金で指名かランダムで安くするか、というものだった。
金もないし…と迷ったが、指名制を選んだ。
ネットで、
『顔写真なんて修正済みばっかで当てにならん』
というのをよく見ていたから期待はしていなかった。
しかし、並べられている女の子の中には結構可愛い子も多く、無駄に期待しつつ、1人の女の子を選んで個室に入った。
初めてで何だか落ち着かずにそわそわしていると、女性の声がして部屋に入ってきた。
ふと、聞き覚えのある声だなとは思った。
顔を上げるとそこには元カノがいた。
元カノの事は以降Rと表記します。
写真はやはり加工されていたようで全然気づかなかった。
でも、今思えばど事なく面影を見ていたのかな…と思う。
しかし驚いた。
Rも驚いた顔をしていると同時に焦り始め、どうしていいか分からない、見覚えのある挙動不審な行動をしていた。
驚いたと同時に俺のいきり立っていたチンコは何だか急速に縮んだ。
そして、
『何でRはこんなとこで働いてるんだ?』
という冷静な思考へと戻った。
会話をしばらく交わさず無言でいると、Rが
「こんなとこで何してんの?」
「そりゃ俺のセリフだわ。お前こんなとこで働いて・・・」
「その事はとりあえずいいから、まずはどんな風にして欲しいかいって。こっちもお金もらってる以上何らかのサービスはしないと」
正直オレはそんなエロい気分はとっくに飛んでいたから全くやる気はなかったんだけど、Rは
「仕事だから」
と言い張って結局フェラをしてもらった。
昔よりも上手くなってた。
軽くフェラしてもらったけど、結局逝く事も出来ず仕舞いだった。
それよりも、Rが何でこんなとこで働いてるのか、今何しているのかが気になった。
別れて以来連絡も取らずに過ごしてきたので、色々と聞いてみたかった。
「Rさ、久しぶりに飯でも食わない?奢ってあげるから」
「でも私仕事忙しいし…」
「ほら、近況報告会って事で。軽くでいいから飲みに行こうぜ。俺も就活の息抜きに。連絡先変わったのに教えてくれてないよね…」
「うん・・・じゃぁ分かった。これにアドレス書いとくからメールして」
そう言ってRは仕事用の名刺にアドレスを書いて渡してきた。
「そんじゃそろそろ時間。また今度ね」
そう言って俺は部屋から退出し、入り口前で先輩と合流した。
結局これが人生最初で最後の風俗となる。
先輩には彼女がいた事は黙っておいた。
男女交際に関しては先輩は面倒なのである。
先輩には適当に感想を述べて解散した。
家に帰ってすぐに書いてあったアドレスにメールをした。
返事は次の日に来た。
「飲みに行くんでしょ?いつ行く?」
適当に何日か指定して都合の合う日を決めた。
正直、再びプライベートで会う事に不安を感じていた。
もしかしたらまた好きになってしまう、そんな事を考えていた。
実際、女子大生として過ごしたRは格段に美しく、麗しくなっていた。
そして、なぜピンサロで働いているのかも疑問であった。
そんな事を考えつつ、就活しつつ、約束の日を迎えた。
去年の2月の中頃の事である。
ちょっと洒落たバーに連れてった。
ずっと気になっていた、
『なぜピンサロで務めているのか』
という事がどうしても聞きたかった。
そんな性に対して欲求の強い子ではなかったから、どうしても疑問だったし聞いてみたかった。
理由を簡単にまとめるとこんな感じだった。
・高校の時もだったが、家庭の経済状況が芳しくないため、ある程度の金を家に入れないと学校に通えなくなる。
・普通の飲食バイトも経験したけど収入的に良くない。
・友達との雑談で冗談で話していた時にこの世界でバイトしようと思った。
おおまかな流れはこんな感じだった。
あぁ…そういう理由だったのか、と思った。
最初の方にも書いたけど、彼女は独力で大学に行ってる。
元々行動力のある子だったし、何をするにも周りの声を良くも悪くも取り入れない。
女の子だったから何となく納得してしまった。
でも、と思った。
正直まだ俺はどこかで好きだったのかもしれない。
ましてや振られていたわけだし。
だからピンサロで働いて欲しくなんてなかった。
でもそんな事言えるわけもない。
正当ではないのかもしれないが、彼女なりの理由があって働いてるわけだから、そこに俺が付け入る隙などない。
で、俺なりに聞きたい事あったけど、でもそうしてしまったらそれは彼女のしたい事を止めてしまう、大学に行くなと言ってるようなもので、そんな事出来るはずもなかった。
そんなこんなで元カノとの飲み会はあっという間に終わってしまった。
帰り際にRが、
「また遊ばない?俺くんやっぱり面白い」
と言ってくれて、また遊ぶ約束をした。
ただ俺も忙しかったので、次は2月の末に遊ぶ事になった、また飲み会だ。
2回目の飲み会も凄く楽しく終わった。
結構Rが酔っ払ってた。
だから俺も開放しつつ、Rの良い匂いをクンカクンカしてた。
酔い覚ましに外をプラプラしていると、Rも酔いが覚めてきたのか真面目な話をし始めた。
「ところでさー俺くん」
「何で俺くんの事を振ったか分かる?」
「え、好きじゃなくなったからって言ってたじゃん。俺がほったらかしにしてたりとか」
「ううん、ほんとはね、そんな事じゃないんだ。私の家が色々大変なのは前から言ってたよね?それで私が沢山のバイトして家にお金入れてる話したじゃん。まぁ今はあんな仕事で楽してるんだけどさ…」
「それでね、ほんとのところ俺くんに迷惑かけちゃうと思って。それに俺くん、大学楽しそうだったし、色々な面で負担かけちゃうかなって思っちゃったの。だから、結構辛い言い方になっちゃった。ごめんなさい、あの時は…」
何でこんな言い方するのか、分かんなかった。
今思えばもしかしたらこれってフラグなのかもなぁと、今からもっかい付き合い直す事も出来たんじゃねえかと、その答えも今となっては確認する事すらできないんだけどね。
チキンな俺は
「へーそっか。何か気使わせちゃって悪かったね」
とだけ言った。
その後は他愛もない高校の話をしながら、"あいつ今何してるかなぁ"とか、そんな話を近くの公園でした。
Rから、
「また遊びたいな」
って言われた。
どっか行こうって。
何となくこのままズルズル行っちゃいそうな気がしてたけど、でも楽しかったし全然構わなかった。
何となくRにも甘えてた。
そいで、3月の後半にとりあえず遊ぶ約束をした。
結局この予定は実行されずに終わってしまう。
それからちょこちょこメールのやり取りをしつつ、
「2年のクラス同窓会やりたいねー」
なんて言ってた。
もっともRはこんなバイトしてるなんてバレたくないから、あまりその件は乗り気じゃなかったけども。
そして、Rが
「婆ちゃんちに帰るよー」
みたいな話をしてた。
親戚のおじさんの体調があまりよろしくないらしく、
『1週間くらい親の実家の方に行く』
みたいな話をしていた。
『だからしばらくメール返せなくなるけど、まあ就活頑張れwwww』
みたいなメール。
俺の就活も佳境を迎えていて、そんなに俺も返信しているわけではなかった。
親戚のおじさん一家はRの母方の家と2世帯で暮らしていた。
宮城だった。
そして、日本人であれば誰もが忘れないであろう地震が来る。
都内のコンビニにいた俺は
「やべぇやべぇwwwwワイン落ちてきたwwww」
とか言ってふざけて写真撮ってたりした。
全然この時は地震のヤバさに気付いてなかった。
ふざけてた。
携帯が繋がらなくなって電車も止まってるし、仕方ないからどんな感じかTV見るかと思い、家に帰ってTVを点けると大変な事になっていた。
俺が牛たん好きと知っていた彼女は、
「土産に牛たん買ってってやる」
とか言っておちゃらけていた。
とにかく不安だった。
よく分からない気持ちとか、もうなんか急にパニックになってしまった。
この辺はよく覚えてないんだけど、とにかくメールしまくってた。
回線が混んでてなかなか送れてなかった。
それでも何件かメールは送れていたようだった。
TVを見ながらコンビニでふざけた自分を悔いた。
ひたすら返事をくる事を祈っていた。
今でもそのメールの返事は返ってきていない。
居なくなったとは思いたくない。
薄々気付いてたけど、少なくとも俺はまだ好きだった。
だからこそ、余計にそう思いたくなかった。
きっと俺はもうずっと彼女作る事なんてできない、それどころか好きな人すら出来ないのかもしれない。
けどまぁ、それはそれでまたありかな。
なんて思っている。